海外研修について

SGH ニューヨーク研修③

 午前中はいよいよ国連日本政府代表部への訪問です。
 ホテルから初めて、地下鉄を乗り継いでの移動です。研修中の移動は全て研修プログラム担当の生徒が引率します。初めての乗り継ぎは四苦八苦しましたが、弱音を吐かずにみんなを引っ張っていこうとする姿は立派でした。

☆研修中の移動は担当が経路を決め引率します
 

 日本政府代表部では、多忙な中、別所浩郎 特命全権大使・国際連合日本政府常駐代表へ表敬訪問しました。大使からは、生徒たちが金曜日に予定している各国の国連関係者との意見交換に向け、国連の空気を吸って学んでほしいとお言葉をいただきました。また、今日大使が出席を予定されている様々な会議の予定を教えてくださり、その範囲の広さと多忙さに生徒たちはうなっていました。
 生徒たちからは、先輩の3年生が地元の和菓子屋「菓匠庵」と協働して商品開発した「のの字」を御礼にお渡ししました。「のの字」は、楢葉町の園児と一緒に収穫した町の特産物のゆずを使ったお菓子です。

☆激務の中、別所浩郎特命全権大使がお時間を下さり、表敬訪問しました
 撮影:国連日本政府代表部
  

 その後、国連日本政府代表部の岸守参事官に金曜日の国連関係者意見交換のプレゼンテーションのリハーサルをご覧いただき、貴重なアドバイスを多数いただきました。

 また、国際連合で日本がプレゼンスを発揮していくために心掛けられている考え方や、具体的な取り組みについて、分かりやすく、深く考えさせられる講義をいただきました。

 特に、国連加盟193か国の間のコミュニケーションでは、日本固有の「沈黙は金」という姿勢は通用しない、という話に生徒たちは深く考えさせられたようです。それは、黙って良い仕事をしていればいつか報われて当然だという「傲慢」であり、良い仕事をしていれば伝える努力は何もしないという「怠慢」だ、世界の中で日本・自分自身固有の特技を持ちエッジを効かせなければいけないとのお話でした。

 また、「平和」とは紛争解決のみならず開発や人権確保なども含めた平和な状態を持続させることであるという考え方や、シリアやロヒンギャなどの大きな問題が多数ある中で、国連で「福島」を発信することの意義と難しさなど、大きなヒントをたくさんいただきました。

☆岸守参事官から貴重な講義をいただきました
  

 さらには、「国連」という立派な人が何かを決めているわけではなく、良く見てみるとA国やB国が決めていることもあり、日本の立場で自分たちが決めていることもある、私たちが「国連」の一部であり、あなたたちも「国連」の一部であるかもしれない、というメッセージに奮い立たされました。岸守参事官からは、自分たちの思う社会を実現するために、国連という場を生かしていくことが重要だと教えていただきました。帰路では、歩きながらお互いに「私が国連です」と言い合う姿が見られました。

 今回の海外研修でも国連日本政府代表部に多大なるお力添えをいただき、貴重な機会に一同深く感謝をしていました。

 午後には、アイビーリーグの1校であり、ノーベル賞学者を100名以上輩出している名門コロンビア大学を訪問しました。今回は、日本から国際公共政策大学院に留学されている方のお力添えにより、25名の各国の大学院生の方々に、プレゼンテーションとスピーチを行い、意見交換を行う機会を頂きました。

 プレゼンテーションとスピーチでは、発信したかったことはお伝え出来、終了後に「素晴らしい取り組みだ」「福島の状況が良く分かった」「NYから福島を支援するためにはどうしたらよいか」といったお言葉をかけていただきました。

☆避難からの帰還時の分断や、風評についてスピーチする生徒
  

☆風評と様々なメディアの在り方についてスピーチする生徒
 

☆震災後に絆という言葉が多用された反面、地域に生まれた様々な対立と、その解決についてスピーチする生徒
 
 
☆コロンビア大学をキャンパスツアーしながら留学について助言をいただきました
 

 しかし、意見交換の時間は、生徒たちは英語での応答への躊躇もあって譲り合う姿が見られ、受け身の姿勢で大きな反省の残る時間となってしまいました。そもそも今回は、生徒たちは事前にこの場でのテーマについて議論し「風評被害について海外の視点からご意見をうかがい、世界においても深刻な差別の問題について、自身の体験を踏まえて、話し合いたい」というリクエストを出していました。しかしながら、関連する質問にも十分に答えられず、考えていることの極めて一部しか返すことが出来ず、議論は発展しませんでした。

 挫折感から始まった夜の振り返りミーティングでは、国連日本政府代表部の岸守参事官から助言いただいた「傲慢」「怠慢」という姿勢は、午後の自分たちにこそ当てはまる、国際社会で黙っていることは、何もこの人から学ぶことはないと思われてしまうし、関心を持って話を聞いてくださった方に申し訳ない、との反省が多数出ていました。プレゼンテーションで伝えることに精いっぱいとなってしまい、その場の目的まで考えて臨めていなかったことが原因だと自分たちで 分析していました。

 この日の学びと反省を踏まえ、明日からの国連国際学校(United Nations International School)や、国連関係者との意見交換に臨んでいく姿勢を確認し、就寝となりました。

 大きな挫折を経験して、渡米している12名がひとつのチームになるきっかけをいただいた、大きな一日となりました。