ふたば未来学園の日々

2017年3月の記事一覧

第5回 東北クラスタースクール 報告

 2017年3月24日(金)~26日(日)本校生徒13名(2年生9名、1年生4名)が
宮城県志津川自然の家で行われた第5回東北クラスタースクールに参加した。
2017年8月に東京で開催される国際会議に向けて、中高生を合わせた小グループに分かれて話し合いを持った。東北クラスターは、開会行事、異文化交流、コミュニケーションスペース、夜のパーティー、閉会行事を担当することになった。
 名称は『生徒国際イノベーションフォーラム2017』に決まった。
 本番に向けて、他クラスターと海外のパートナー校と連絡を取り合い、準備していく。
 2日目の午後には、大阪府立大学の井伊直比呂先生から2014年に開催したESD国際会議の進め方についての具体的な話をいただいた。先生からの質問に対して、生徒たちは自分の言葉で表現していた。
<講義の内容>
・東北クラスターの役割は、お皿の役割であり重要である。なぜなら、交流がうまくいかなければ、海外からのゲストの不安を払拭できずに議論がうまくできなくなる。
・企画やイベントも大事だが、基になる気持ちが大切である。一人ひとりを大切にする。
・挙手しても指名されない人がでないように留意する。
・小遣いが持てない国もあるので、いつでも水を飲むことができるようにした。
・議論は勝ち負けだと思っている人がいるので、共創的ディスカッションを楽しむ。
・共創的ディスカッションとは、参加者が「考え(知)」と「経験」を出し合って、共通する「考え(知)」や「経験」などを探し出す。
・自分の優位性を示したり、相手を否定したりするのではなく、それぞれの考えをどのように自分の考えや成長に生かす。
・ディベートで負けた方は、悔しさしか残らない。
・「どうせ」と思わせてはいけない。「だる」はやる気を失くすので言わない。
・発表は学習発表や紹介だけではなく、何が問題だと思うか(課題提示)と自分たちはどう思う(主張)を書くと意見を寄せてもらえる。

野村総合研究所の岸浩聡氏さんからの講義
<講義の内容>
・2030年の仕事と働き方
・労働力人口800万人減少
・日本にいる外国人はなかなか増えていない。→働き手に獲得競争が起こる。
・人工知能(AI)で49%の仕事はできる。事務職、会計士もなくなる。
・日本はAIの発展をpositiveに受け入れられている。
・物流、倉庫でAIが活用されている。自動運転で、幹線道路を運転。2020年~2025年。
・AIと共存し、新しい仕事、新しい仕事を生み出す。
・AIの導入は、経済合理性、社会の受容性に左右される。
・人間にしかできない仕事は、創造性・協調性・非定型の仕事である。
・必要なスキルは、ネゴシエーター、カリスマ、火消し役(問題処理)である。
<2日目夜>
広島クラスターとSkypeでつなぎ、フォーラムの流れと目的を共有した。
ふたば未来学園は、閉会行事と異文化交流を担当することになった。

<3日目>
学校ごとに8月までのロードマップを考えた。
ルーブリックを記入した。自己評価の後に周りの生徒から客観的な評価を受けた。
帰路の途中で代表生徒が、津波の被害が大きかった石巻市立大川小学校を訪問し、犠牲者に対して焼香し、黙とうした。その校舎には、一輪車が得意な小学生が元気で生活していたことを心に刻んだ。

全体を通して、2年生は後輩に引き継ぐために、わかりやすく説明しようとする姿が見られた。1年生は今後のスクールを支えていこうとする覚悟が育っていくのが感じられた。
研修の成果を全校生徒に伝え、本校の未来創造探究を進めるうえでのリーダーになっていってほしい。

<活動の様子>
  
  

平成28年度SGH海外研修(米国・ニューヨーク)第9日目

<国連関係者意見交換、UNIS生徒意見交換>


いよいよ総括となる国連関係者との意見交換を行うニューヨークでの活動最終日。緊張感のある朝を迎えました。

午前中は、UNIS(国連国際学校)を訪れ、1時間目には日本語を学んでいる外国籍の高校生への英語でのプレゼンテーションと意見交換、2時間目には中学生への英語でのプレゼンテーションと意見交換を行いました。

午後には、いよいよ国連本部へ。広報局のナンバー2であるナセルアウトリーチ部長や当局者、シエラレオネ、コロンビア、バングラディッシュ、インド、米国等の国連Youth Delegateの若者との意見交換を行いました。福島の現状や自分たちが取り組む復興の活動に関するプレゼンテーション&スピーチは6回目となりました。今回は、ニューヨーク研修で学んできた内容も踏まえた発表となりました。

戦災や差別を経験したバックグラウンドを持って、平和な世界の実現のために国連を志した彼らに、自分たちの発表がどう響くのか不安もありましたが、生徒たちはこれまでのニューヨークでの学びを自分のものとして、福島のことだけでは無く、広島や9.11や難民問題についても言及しながら発表を行い、高い評価を頂きました。

「体験をしたあなたたちにしか言えないことがある。あなたの思いや考えを世界に発信していくべきだ、諦めずに何度も何度も」「これからも一緒に活動していこう」等のコメントを頂き、その後は小グループに分かれて昼食をとりながら議論を深めました。

国連Youth Delegateからは、早速国連のSNSであなたたちのメッセージを発信したいと申し出を頂き、急遽その場でメッセージ動画の撮影も行われました。国連Youthと生徒たちは、SNS等でこれからもコンタクトし合うことを約束していました。

宿舎に戻って一連のニューヨークでの研修を総括するミーティングを行った後、宿舎の近くのイタリア料理屋でピザとパスタで打ち上げが行われました。

使命感を持って駆け抜けたニューヨークでの9日間は素晴らしい経験となり、大きな成果を日本へ持ち帰ることとなりました。しかし、探しにきた「福島復興の解決策」は見つからず、むしろ多くの「福島と世界の未来に対する課題」を持ち帰ることとなりました。

ニューヨーク研修の実現に際して、多大なるご協力を頂いた国際連合日本政府代表部と在ニューヨーク総領事館、ジェラルド・カーティス先生をはじめとしたコロンビア大学の皆さまに、心から御礼を申し上げます。

生徒たちがまとめたレポートは別途掲載致します。

 

平成28年度SGH海外研修(米国・ニューヨーク)第7・8日目

<自由研修>


土日の二日間のプログラムは、生徒たち自身が企画したプログラムです。ここまで例年になく暖かかった気候が一変し、冬のニューヨークらしい氷点下での活動となりました。

土曜日は楽しみにしていたパンケーキ屋での朝食を済ませ、まずはセントラルパークへ。研修係の生徒が企画したのはテレビ番組「世界の果てまでイッテQ!」にヒントを得たゲームでした。3人ずつのチームに分かれて、道行く人に英語で道を訪ねながら目的地を探し当てるゲームです。出題はニューヨーク市公園局に勤める邦人職員の島田さんにお願いしました。
地図を見るのは禁止、携帯で調べるのも禁止、チームの中の3人がローテーションで道を訪ねるルールで1時間のゲームを行い、だいたい各自3~4回英語で道を訪ねたようです。1チームは見事目的地の「シェイクスピアの劇場」へ到達しました。ここでは毎年夏に「シェイクスピア・イン・ザ・パーク」と題して毎日シェイクスピアの演劇が上演されます。入場は無料。こうした催しや公園の維持管理が市民や企業の協力で成り立っているという解説を聞き、驚いていました。
最初は生徒たちの企画の意図が読み取れず、寒さに文句ばかり言っていた引率団も、英語で現地の人とふれ合いながら町の文化も感じられる秀逸な企画に舌を巻きました。

その後は、2チームに分かれて、ブロードウェイのミュージカル「ウィキッド」と、メトロポリタンオペラの「椿姫」を観劇しました。本場の舞台に触れた経験で、世界の広さと美しさを感じてくれたと思います。

また、夕方にはニューヨークの東北支援団体が主催する追悼式「TOGETHER FOR 3.11 6th Anniversary memorial for Japan’s Earthquake and Tsunami victims」に参列し、多くの方にお支え頂いていることへの感謝の気持ちを持ちながら祈りを捧げました。会場の教会に入る前に、リーダーの生徒から皆に「それぞれの想いを持って参列しよう」と呼びかけがありました。

日曜日は、アメリカ自然史博物館へ。1000人以上のスタッフを擁し、海洋、恐竜、動物、宇宙等のゾーンに分かれた広大な館内は、とても全て見て回ることはできません。生徒たちは、掲示されていた「The Planets, stars, and everything you can see are less than 5 percent of the universe. What is the other 95 percent?」という宣伝文に興奮し、宇宙の広大さに関する映像をプラネタリウムで鑑賞しました。

また、一部の生徒は探究班で自身がテーマとしている、食を通して農家と住民が直接ふれ合う「ファーマーズ・マーケット」を視察しました。店で買えるものとはひと味もふた味も違う新鮮な美味しい昼食をとることが出来ました。

生徒たちは、全力で体感し楽しんだ昼間の自由研修を終えて、夜はミーティングを行い、明日の国連でのプレゼンテーションに備えていました。

 

 

平成28年度SGH海外研修(米国・ニューヨーク)第5・6日目

<生徒国際会議UNIS-UN>


いよいよUNIS-UNの会議に臨みました。

会場は国連総会が行われる「General Assembly Hall」です。加盟193ヶ国の座席が並ぶ重厚な空間に足を踏み入れ、緊張は最高潮に達しました。日本政府代表部の座席に座り、今週懇談した別所大使らがこの席に座りながら世界と議論を交わしていることを想像しました。

生徒たちは、移民としての経験を持つ方や、大学の先生など、6名の方によるスピーチを聞きました。通訳が一切居ない環境での数時間のヒアリングは相当ハードで、初日は多くの生徒たちが内容を聞き取れず、夜は真剣に反省会を行いました。二日目は、講師の方の予習を行いつつ、集中力を保つことが大切と十分な睡眠をとって臨み、多くの生徒たちが内容を理解できました。命からがら難民として米国へ渡ってきた方の話や、難民支援を行っている方の話を涙を浮かべて聞く生徒も居ました。

その後、他国の生徒たちとの混合チームで座席に座り、ディベートテーマに沿って議論を行いました。ディベートのテーマは、3/2は「経済的移民と政治的難民は同等に扱うべきか否か」、3/3は「政治的難民は、セキュリティのリスクがある場合は、受け入れを拒否されるべきか否か」という難しいテーマです。生徒たちはこの数ヶ月、自主的に集まって難民問題について学習を重ねてきました。自分たちも原発事故による避難の経験を抱え、例え同じ国の中での避難であってもとても避難民は苦しい境遇に追い込まれてしまうことを知っている生徒たちは、自分たちの経験も交えながら果敢に各国の生徒たちと議論を行いました。

体験を踏まえた深い考えがあっても、英語が話せなければ伝わらないという悔しさを、多くの生徒たちは抱えていましたが、それでも他国の生徒たちに伝わることもあったようです。
そして、全ての日程終了後、日本から参加している他校の生徒たちと「日本語で」日本の移民政策についてのディベートを行いました。言葉の大切さを改めて感じていました。

夜は、アメリカのドラマで観るような打ち上げのダンスパーティーに参加。言葉と身体で各国の生徒たちと打ち解け、盛り上がる体験をして、あんなに難しいと思っていたコミュニケーションが実は簡単なのだと実感していました。

毎回掲載している、担当生徒によるレポートは、研修プログラム毎にA4で1ページ程度となっていますが、UNIS-UNについては簡単にまとめることが出来ない内容で、数ページにわたるレポートを編集中です。生徒のレポートは別途掲載致します。

       

農業・商業系列の2年生が東京販売会に行ってきました

 スペシャリスト系列農業と商業の2年生は、合同の課題研究の授業で、一緒に経営マーケティングを学び、新商品の開発を行ってきました。
 2月25日(土)、東京販売会が「赤坂アークヒルズ」で行われ、本校の代表として、「じゃがいもラスク」と「2525小鳥クッキー」の2つの商品を販売してきました。

☆販売会場
 東京の赤坂にある「赤坂アークヒルズ広場」では、定期的に「赤坂マルシェ」という催しを開催しており、全国から多くの方々が集まってきます。


☆販売した商品
 商品開発からパッケージデザイン、ポップ、タブレットで流すCM動画など、すべて生徒たちが考えました。


☆販売ブース
私たち以外に、県内外の5つの学校と合同で販売ブースを作ります。どの学校も個性的な商品が並んでいます。


☆接客中の様子
他の高校の先輩方と協力しながら、商品を販売し、大変多くのお客様に買っていただきました。


☆決算報告会
 販売会当日の夜は、グループごとに報告会を行います。この販売会の主催者である株式会社アクセンチュアの社員の方をお招きし、決算報告をするとともに、貴重なアドバイスをいただきました。

生徒にとって、とても有意義で、よい経験となった一日でした。
今回の販売会にご尽力頂いた皆様に、厚く御礼申し上げます。

平成28年度SGH海外研修(米国・ニューヨーク)第4日目

 いよいよ、国連国際学校(UNIS)を訪問しての、世界の同世代との交流がスタートしました。UNIS-UNと呼ばれる、国連本会議場で行われる生徒国際会議に参加し、UNISの他に21か国46校からの参加生徒も加えた計550人の生徒たちと3日間の議論と交流を行います。
 初日は文化交流や、今後のディスカッションの素地となる知識の確認をしました。渡航前にも本校生は、今回のUNIS-UNのテーマである「移民問題」について調べ、議論を重ねてきましたが、英語でこのテーマを議論することに苦戦し、全員が挫折と焦りをにじませた表情で宿舎に戻りました。また、UNISの生徒を案内役として、本校生のみで、米国同時多発テロについて展示されている 9.11 Memorial を訪問しました。多くのことを感じた一日でした。
 宿舎への帰宅後、今日も振り返りのミーティングを行い、担当の生徒がレポートをまとめました。詳細は生徒のレポートをご覧ください。

<UNIS-UN Cultural Showcase、Work shop、Welcome dinner、9.11 Memorial訪問>
3月1日(水)  文責:K.N


○UNIS(United Nations International school)は1947年設立、もともと国連本部の職員や各国代表部等の子を対象として設立された学校で国際色豊かである。私立/共学/通学制の幼稚園・小学校・中学校・高等学校がある。
○UNIS-UNとは世界中の様々な国の高校生や中学生が集まり毎年決められた議題で国連の本会議場で行われる生徒国際会議である。今年で41回目を迎える。

  

(UNIS-UN Cultural Showcase)
○UNIS-UNで行われた最初のセッション。それぞれが自国の文化や学校の紹介を歌やダンス、プレゼンなどをした。例えば、中国は国歌斉唱や中国にまつわるクイズ、メキシコはPVなどでShowcaseを盛り上げた。自分たちも日本の伝統的な踊りであるよさこいを披露した。オレンジ色の法被を身にまとい迫力あるパフォーマンスができたと思う。会場からはたくさんの拍手をもらうことができた。

(UNIS-UN Work shop)
○学校や国籍関係なく分けられた数人のグループでディスカッションを行った。それぞれ自己紹介をしたあと、翌日のUNIS-UNのカンファレンスのテーマである「移民問題」をテーマにクイズをして、知識を身につけた。その後、移民の一例の話を聞いた。話の内容はメキシコからアメリカ合衆国に移り住んだ家族が身分を隠し仕事を探し生きている話だった。
○Work shopで学んだことは、移民は仕事にもつけず、見つけたとしても重労働で低賃金だということ、移民は生きることに精いっぱいでとても過酷な境遇だということが分かった。個人的な反省として英語の意味を理解できずについていくことができなかったが、UNISのジャマイカとスウェーデンのハーフで日本語を勉強している生徒に助けてもらい、何とか理解できた。英語で積極的に話し合いに参加できなかった。自分の意見を言えなかった。明日のディスカッションでは自分の意見を述べることが課題だと感じた。

(Welcome dinner)
○グループに分かれての食事会をした。自分のグループにはドイツ人やスペイン人、バミューダ人がいた。誰も話さず重い雰囲気だったが、スペイン人の生徒がうまく話を振ってみんな交流することができた。交流の中ではどこから来たか自分の母国はどんなところかなどについて話しながら交流を深めた。今回感じたことは自分から殻を破り勇気をもって相手に歩み寄ることで相手とより良いコミュニケーションができる。また、他のテーブルでは本校性が手品で場を盛り上げており、何か特技があれば相手を引き付けることができ、相手のコミュニケーションの壁は無くなると感じた。

(9.11Memorial訪問)
○UNISの生徒と2001年9月にアメリカ同時多発テロにあったグラウンドゼロを訪れ、9.11Memorialを見学した。9.11Memorialは事件の追悼施設として2011年に開業した国営の施設。アメリカ同時多発テロとは、ツインタワーと呼ばれる2つの貿易センタービルにハイジャックされた飛行機が激突し、多くの被害者を出した事件。
○へこんだビルの鉄骨や当時の音声や映像など生々しさがとてもあり、事件の残酷さを肌で感じることができた。
○私は高校一年の時に広島の研修に行き原爆資料館を訪れたことがあった。両方とも悲劇を伝える博物館で、博物館の重苦しい雰囲気や事件の残酷さをまざまざと見せつけられ、何とも言えない心の震えを感じさせられた。しかし広島も9.11も被害者側ではあるものの、同時になぜ起きたのかという背景をしっかり考える必要があると思った。9.11事件の背景として世界のグローバル化の中でのイスラム思想の否定がある。文化のすれ違いを象徴するようなこの事件は移民のことを考える上でとても関わりが深いと思う。
○そして、私たちも東日本大震災で経験した負の遺産をどのようにして後世に伝えるのか考える必要があると思った。