大阪成蹊大学経営学部スポーツマネジメント学科 古川拓也先生の講義 「スポーツを通して“誰が”地域課題を解決するのか?」 を以下にまとめます。 ・・・・・・・・・・・ スポーツを通して地域課題を解決しようとする取組の例を見ていきましょう。 Ⅰ.スタジアム・アリーナの建設による地域の課題解決。 政府主導による 「スタジアム・アリーナ改革」がなされています。 フードの質の向上、競技者と観客席の距離を近く、など、 単に「競技者が集まるもの」から 「見に来てくれる人が満足いくもの」を目指しています。 スタジアムを中心としての地域への経済効果、 スポーツによる間接的な効果 (夢や感度の創出、豊かな活力の創出、公共の福祉など) への期待もあります。 1つめの例は神戸アリーナ。 “ともに創るSDGsアリーナ”を掲げています。 2つめの例はFC今治 里山スタジアムプロジェクトです。 「365日の賑わいを創出する仕掛けづくり」を掲げています。 動画をご覧ください。 (Youtube 里山スタジアムプロジェクトコンセプトムービー) 3つめの例は京都亀山市サンガスタジアムです。 スタジアムだけでなく、 足湯、ボルダリング・バスケ施設、保育園などを複合、 e-スポーツゾーン、VRフィットネスゾーン、 co-ワーキングゾーンも設けられています。 いわきFCのクラブハウスも良いですよね。 カフェで女性の方がランチしてるのを見ると、 人が集まる仕組みが出来ていると思いました。 秋には自転車文化発信・交流拠点もできるそうです。 Ⅱ.メガ・スポーツイベント開催による地域の課題解決 2019年ラグビーW杯は高い効果がありました。 東京オリパラも ホストタウン実施などによる交流人口の高まりなど 期待されてましたが…。 Ⅲ.スポーツツーリズムによる地域の課題解決 応援するチームの感染のためアウェーの地域に行く、 あるいはアウトドアキャンプや マラソンイベントで旅行に行くことです。 武道ツーリズムはSUMOUを生で観戦してみたいなど 海外の方に潜在的な期待があります。 いま国交省で勧めているのが、自転車活用推進計画です。 自転車を乗りやすい環境の整備をすることで健康社会を… というようです。 福島県でも 会津や磐城でサイクルコースが発信されています。 スポーツの目線で、 その地域に眠っている地域の資源を 観光資源にできることも考えられます。 「この川で遊んだら楽しそうだね」 「この自然の中を自転車で」と。 Ⅳ.プロスポーツクラブによる地域の課題解決 シャレン(社会連携活動)という名で進んでいる Jリーグの取り組みがあります。 川崎フロンターレの陸前高田での防災かるたづくり、 防災拠点としてのスタジアムにおけるピクニック体験などです。 福島ユナイテッドの「農業部」も面白い。 アウェーでの試合で生産物の販売をしています。 ここで考えていきたいのが 「スポーツを通して“誰が”地域課題を解決するのか?」 神戸の例では複数の企業でした。 スポーツツーリズムの主体は? 最近増えているのはスポーツコミッション。 地域の協力団体、 旅行会社など複数の自治体、 団体、企業などが関わっています。 誰が?という問いの答えは「複数」ですよね。 スポーツ組織団体で出来るのは限界がある。 アウトカム(事業を実現して生まれる変化) を見据えて考えていかねば…。 体験ベースでのビジネス・サービスが求められています。 皆さんの探究に関して… PJによって実現したいもの(解決したい課題)が 一貫しているかを考えながら行ってください。 例えば「交流人口増」なら 「スポーツして楽しかった」で終わるのではなく 「来てくれた人との交流」 「もっと来てくれる人を増やすには?」 「どういう人を巻き込めば効果的か」 など考察を重ねるべきです。