【高1探究】高遠菜穂子さんの国際理解講演がありました
1月23日(火)高校1年探究で、高遠菜穂子さんの国際理解公園がありました。
本校1年次の「地域創造と人間生活」は、「自分を知る」、「地域を知る」、「世界を知る」の3本柱を軸として授業を構成しています。自分のことをとことん掘り下げて振り返る「自分史」や、コミュニケーション・ワークショップ等よって「自分を知」った後は、地域に出て、人と出会い、お話を聞いたりフィールドワークに参加した中で「地域を知」り、その内容を演劇で表現してきました。
「世界を知る」では、世界で活躍する外部講師を招聘し、世界における様々な課題を知り、生徒自身がグローバル社会の一員である自覚を持つための大切なプログラムです。
今年も、イラクで約20年、エイドワーカーとして取り組んでいる高遠菜穂子さんに講話いただきました。
高遠さんには毎年講演をしていただいています。高遠さんの体験談を通して、地域が抱える課題を世界の課題と繋げて考え、世界平和や国際理解の意義を考えることを目的としています。
タイトル「戦争が与える影響〜人々の体と心に残る傷(トラウマ)〜」
戦争によって市民が受けるトラウマ(身体的外傷、心的外傷PTSD)について、お話を聞きました。
その際に印象に残った話が、兵士のトラウマについての話です。
「戦争はおぞましく、信じられないほど残酷だが、最初からモンスターはいない。残虐な米兵も家に帰れば一人の息子であり、優しい父親なのだ。想像してほしい。あなたが軍隊という装置の中で、反射的に攻撃できるよう訓練され、軍の規律に従うよう教育され、戦地の究極の緊張状態の中で「敵を戮滅せよ」という命令を受けたら、攻撃され、仲間の兵士が殺されたら、残虐行為をしてしまうかもしれない。でも、ある瞬間に自分が犯した「罪」を意識し、もう人を殺したくないと思っても、アメリカの軍法では、それは反逆罪になる。兵士のトラウマは、軍の名誉とされる行為が良心と折り合いがつかないことで生じてくるのだ。」
生徒達は、高遠さんから語られるイラクの現状とその熱量に圧倒されながらも、自分達の知識を広げようと真剣にその思いを受け止めていました。戦争が与える影響についてお話を聞く中で、目を背けたくなるような辛いお話もたくさんありました。ロシア・ウクライナの問題、イスラエル・パレスチナの問題など、ニュースでは知っていたけれど、実際に戦争・紛争が起こると、そこにいる罪のない国民はどんな被害を受けているのか、写真や映像、実際に紛争地で人道支援をしてきた高遠さんから聞く話はリアルなものばかりで、生徒達も最後までものすごい集中力でメモをとっていました。
講演会後は、演劇を披露しました。
高遠さんは、子供達のエンパシー(共感力)を養うため、イラクのドホークにて絵本の読み聞かせや演劇ワークショップを広める活動を始めました。きっかけは、なんと本校の取り組みを見たことだそうです。毎年、高遠さんの講演会の後に、こうして授業で作った演劇を披露して、意見交換をするようにしています。
今回は、ドイツ研修チームが現地で披露した英語劇を発表しました。
今回、高遠さんの他に、イラクで高遠さんと一緒に演劇ワークショップをしてきた
花﨑攝さん(シアタープラクティショナー)
大谷賢治郎さん(演出家、俳優、ワークショップファシリテーター)
も一緒に、振り返りに参加してくださり、様々な角度からフィードバックをもらいました。
ドイツ研修の報告もすることができました。
その後も多くの生徒が残り、19時近くまで質問が止みませんでした。
イラク復興と双葉郡の復興を重ねた生徒も多く、まずは身近な社会から変えていけるように頑張っていきたいと思います。