人材育成要件・ルーブリックの改訂について(6 April 2021 Ver.)

本校では、H27の高校開校時に全教員で協議し、本校教育活動全般で育成を目指す資質・能力をルーブリックで定義し、指導の重点の設定、授業の展開、学習評価、学校評価等を本ルーブリックと関連づけながら展開してきました。

その後、R元年度より中学校開校、震災時未就学世代の入学、双葉郡外出身生徒増等の状況の変化を踏まえ、全教員でルーブリックの再検討に着手し、下記の段階を踏んで改定の検討を重ねてきました。

この度、ルーブリック改訂版を確定し、R3年度より活用しておりますので公開いたします。

ふたば未来学園人材育成要件・ルーブリック(6 April 2021 Ver.)

PDF版:ふたば未来学園人材育成要件・ルーブリック(6 April 2021 Ver.)


 探究を通じて育成されるルーブリックの資質・能力 

探究を通じて育成されるルーブリックの資質・能力


 改訂の経過 

  • 未来研究会:2030年の予測データを参照しながら全教員で求められる力を出し合う(2019.6.12)
  • 企画研究開発部にて未来研究会で出された意見を踏まえ改訂案を検討(2019.6.13~)
  • 未来研究会:企画研究開発部が主たる改訂点について素案を提示、全教員でルーブリックの項目・レベルを検討(2019.8.9)
  • ルーブリックの力を教科横断で育むクロス・カリキュラムの実践(2019.09.04~11.13)
  • 「創造力」の軸の設定について芸術科にて素案検討(2020.5.1~)
  • 企画研究開発部にて芸術科「創造力」素案を土台として検討。他項目についてもこれまでの意見を踏まえ検討(2021.2.4~)
  • 職員会議に企画研究開発部が改定案を提示し協議、決定(2021.4.6)

※「未来研究会」とは、全教員が参加して行われる本校の教員研修会 


 改訂のポイント 

(1) 「創造力」の軸の設定

「自立」「協働」「創造」の3つの理念に基づく資質・能力のうち、「自立」「協働」の力の育成は、未来創造学・未来創造探究、演劇、哲学対話、各教科等により進展してきた。一方で、探究をはじめとした各種実践において「創造」の力の発揮には課題がある。本校グランドデザインが目指す社会像として指し示す「イノベーションによる新たな産業の創造」や「新たなまちづくり」を進めていく上でも、さらなる「創造力」育成の強化が求められてきた。

令和元年度より着手している本校ルーブリックの改訂の議論において、これまで「C 思考・想像力」として、論理的思考力や批判的思考力と一体化して設定されている創造的思考力について、独立させて軸立てをする必要性が議論されてきた。このことを踏まえ新たな軸を設定。その際、下記を重視。

  • 創造のためには、自分なりの見方で状況を捉え(観察)、思考することが重要であること。
  • 「創造性を育てる最善の方法は、情熱(Passion)に基づくプロジェクト(Projects)に、仲間と共に(Peers)遊び心に満たされながら(Play)取り組むこと」(MIT、M.レズニック)
  • とりわけ「Play」は単なる遊びではなくティンカリング(試行錯誤していじくり回す)にあり、失敗を恐れず挑戦し、修正を加えていくデバッグ思考の行動様式が求められること。
  • 創造のためには、自らのアイディアを異なるもの(知識や技術、他者のアイディア等)と繋げて生かしていくことが求められること
  • ひとりよがりの創造から、徐々に社会的に価値のある新規性や独創性のあるアイディアに磨き上げていくステップをイメージすること。 等

(2) 「C 思考力」の改訂

「創造力」の軸の分離に伴い、項目名を「思考・創造力」から変更するとともに、レベル5の記述から創造力の要素を削除。加えて「批判的に考える」という記述を生徒達がネガティブな批判と誤解しがちであることから、クリティカル・シンキングを指すことを明確化。下記下線部を追加。

レベル4) 現実と理想の差を踏まえながら、広い視野・大きなスケールで既知の事実について批判的に考え、本質を追求することができる。

レベル5) 未知のことについても粘り強く考え、自分の考えや常識にとらわれずに創造的に考え、新たなアイディアを生み出せ、本質的・根源的な問いを立て、多面的に考えることができる。

(3) 「E 他者との協働力」の改訂

レベル5「文化や国境を越えて」を、現在の本校の教育活動の実態に合わせ「分断・対立、文化・国境を越えて」と下線部を加筆。

合意形成を目指し自身の意見を伝えたり他者の意見を引き出したりしていくことを意識付けするため、あえてレベル3で「共通の目標に向かって活動を進め合意形成を目指すことができる」と下線部を加筆。

(4) 「F マネージメント力」の改訂

目標設定の重要性を意識付けするために、レベル2・4に目標設定の要素として下線部を加筆。

レベル4) 作業の繋がりや、全体スケジュールを意識し、チームやメンバーで作業を適切に役割分担して目標に向けた行動ができる。

(5) 「J 自分を変える力」の改訂

多くの教員から提起があった、地域課題のみならず内発的な自身の夢を追うことも肯定して行きたいとの考えを踏まえ、「夢」の要素として下線部を追記。

レベル5) 社会の中での自分の役割や意義を俯瞰して考え、自分の目標や将来の夢と関連づけて大局的に行動できる。

 

参考: 【改訂点表記版】ふたば未来学園人材育成ルーブリック(6 April 2021 Ver.)


 過去のヴァージョン 

ふたば未来学園人材育成ルーブリック(2018.5.7 Ver.)

ふたば未来学園人材育成ルーブリック(2015.7.31Ver) / 【ENG】ふたば未来学園人材育成ルーブリック(2015.7.31Ver)