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平成28年度SGH海外研修(米国・ニューヨーク)第2日目

 ニューヨーク研修の現地での活動初日は、民間外交の分野で活躍されている日本国際交流センターのジム・ギャノン事務局長や、コロンビア大学の留学生との意見交換を行いました。
コロンビア大学は、これまでに34名の各国大統領・首脳や100名以上のノーベル賞学者を輩出している大学です。今回はアジアやアフリカを含む世界中から持続可能な世界を実現するために国際政策研究大学院へ留学してきている皆さんとの意見交換でした。

訪問先では生徒たちから原発事故や現在のふたば未来学園での取り組みについてのプレゼンテーションと生徒数名のスピーチを行い、その後意見交換を行いました。

スピーチは訪問先毎に持ち回りとなっており、担当となった生徒が自分の震災体験などのバックグラウンドや現在復興に向けて取り組んでいるプロジェクトの紹介、そして地域や世界をどのように変えていきたいかという思いを英語で語りました。

日本国際交流センターやコロンビア大学での意見交換では、「エキサイティングな取り組みを行っている」と高く評価を頂きました。生徒たちにとっては、改めて現在や将来の福島の姿について世界に発信していく必要性を深く考えさせられるとともに、私たちはどのようにしてここニューヨークで現地の方々の意見を深く掘り下げて聞いていくべきかを考える機会となりました。

宿舎への帰宅後、さっそく振り返りのミーティングを行い、担当の生徒がレポートをまとめました。詳細は生徒のレポートをご覧ください。


<米国法人日本国際交流センター(JCIE) ジェームス・ギャノン事務局長 意見交換>
2月27日(火)10:00-11:00 (文責:T.Y)


●日本国際交流センター(JCIE)は、民間の立場から国際的な協力を推進する公益法人。『民間外交のパイオニア』として、「日本の対外関係の強化」「シビル・ソサエティの推進と地域の国際化」などの活動をしている。
●ジェームス・ギャノンさんは、2001年のJCIE参画以前は、国際協力銀行勤務を経てJETプログラムで愛媛の中学校でALTを務めたり、愛媛大学で研究を行うなど日本との関わりが深い。コロンビア大学の国際公共政策大学院(SIPA)も卒業されている。

 

●訪問では原発事故やふたば未来学園について7分間プレゼンテーションを行った後、Y.K、T.Y、Y.Sが各自のスピーチを行った。そして、約40分意見交換を行った。意見交換の内容は下記の通り。
地域の発展には、持続可能性が大切である。その中で「強く、多くの繋がりを持った民間セクターやNGO」、「国際的な繋がり」が必要であると言っていた。
●実際に東日本大震災時の民間からの援助額は750億円、トモダチ作戦などの米国政府からの援助額は90億円で民間からの援助額が政府からの援助額を大きく上回っていたという話を聞き、私たちが多くの繋がりによって助けられていたということが分かった。そして、強いネットワーク構築の重要性を感じた。
●具体的なJCIEが実施した例として、東日本大震災の時にニューヨークの日系アメリカ人のママの会による募金活動を教えて頂いた。街頭での2時間の募金活動でのべ400人の方が約130万円もの募金をしてくれた。中には被災地のことを思って泣きながらまた、ハグをしながら募金してくれる人もいた。
●これだけ募金が集まったのは、ニューヨークが多文化社会でそれぞれの文化を尊重する地域であり、日本を近く感じているからという話もあった。自分たちは「福島のことについて他人事にならないで」と発信しているのに、「もし私たちのトモダチの国が困っていたとき、私たちは自分事と捉えて同じことをできるだろうか」と考えさせられた。
●マンハッタンは島であり、9.11の際に橋や航路が封鎖されるとどこへも避難できないという経験をした。そして福島第一原発事故の経験を踏まえ、マンハッタンの北およそ40キロにあるインディアン・ポイント原子力発電所が事故が起きたとき避難ができないという理由で2021年までに閉鎖されることが決まったという説明があった。
●福島第一原発事故がニューヨークの原子力発電所の教訓になっていることに対して、客観的に見たらいいことなのかもしれないが、自分の地域のことが反面教師になっているのがつらいという意見もあった。
●こちらから「米国の人の福島に対するネガティブなイメージはどのようなものか」質問したところ、ニューヨークの人は、そんなに福島に対する悪いイメージを持っていないと思うということもおっしゃっていた。
●では福島に対しての悪いイメージは収まったのかと言えば「原発事故=福島」「福島=東北」というイメージがあるのも確かということも言っていて、今日話しを聞いただけでは、判断できないという意見になった。また原発事故のことだけでなく、将来の福島の姿についても発信したほうがいいというアドバイスも頂いた。これからも私たちから情報を積極的に発信していかなければならないと感じた。
また、質問した時に「私たちに好感があるから」、「私たちが高校生だから」という理由で、相手からの質問の答えが励ましや一般論になりがちだが、いかに励ましや一般論ではなくその人の本音をえぐって聞き出すことができるかについても議論を深めた。
今回のジェームス・ギャノンさんとの意見交換は、
私たちは強靭な繋がりを構築しながら、原発事故について、現在の福島の姿、そして将来の福島の姿について世界にもっと発信していく必要があると感じた貴重な機会となった。


<コロンビア大学国際政策大学院 留学生意見交換>
2月27日(火)14:30-16:00  (文責:Y.S)

●本校から、福島・双葉郡の現状と、本校で取り組んでいる未来創造探究での活動に関するプレゼンテーションと、M.S・K.E・H.Sの3人によるスピーチを合わせて約30分ほど行った。そのプレゼンテーションとスピーチに対して、質疑応答が行われた。質問の内容として、下記があがった。
 ・SNSなどを使わない高齢者に対してどのように取り組みを伝えていくのか。
 ・多くの人の前で発表する機会は設けられているのか
 など活動をした後にどのように周りの人に伝えていくのかを聞く質問が多かった。
●質疑応答が終わると、3つのグループに別れて、大体10分から15分の間で自己紹介や質問、意見交換などを行った。意見交換の中で出た主な意見は下記の通り。
・とてもエキサイティングなプロジェクトを行っていると感じた。
・一方的ではなく、双方向でのやり取りが必要になってくる
・震災から6年が経とうとしている中で、人々は毎日この問題を考えているわけではない。人々の記憶は薄れてきているから、福島の原発事故を経験し毎日考えている私たちが、取り組みや経験などを共有し、伝えていかなければならない
・今取り組んでいる探究班での活動では、将来のことを考えて活動している。しかし、将来のことを考える上で、現状はどうなっているのか。周りはどう考えているのかなどをしっかりと理解して取り組んでいかなければいけない

●今回の交流会の後に行ったミーティングでは次のような反省が出た。
・質問に答えるときに、周りの人に頼ってしまった。
・自分の取り組みをまとめきれていなかった。
・英語で話すためには、まず日本語で話せるようにしなければならないため、日本語で文章を作れるようにする。
・自分の取り組みと自分のストーリーのバランス
・何か事例などを質問する時に、日本ではどうなのか(今回は福祉制度)を知っていなければ、比較もできず、さらに相手から聞かれても答えられない
・6つの探究班での活動では、専門的な言葉も出てくる。全ての探究班の単語を理解出来ないとしても、自分がやっている活動の中で出てくる言葉はしっかりと覚える必要がある。