SGH ニューヨーク研修①アフリカンアメリカンの歴史から学ぶ
10日間にわたる本年度のSGHニューヨーク研修が始まりました。
2年次生の12名は、この研修に向けて12月から事前学習を重ねてきました。本研修では、未来創造探究で取り組んでいる地域再生や持続可能な世界実現の考えを国連本部やコロンビア大学等で発信し、世界とともに持続可能な社会づくりを考え、未来を創造していく一歩とします。また、研修の事前学習やNYでの行動は全て生徒たち自身が計画を立てて実施するのも、昨年度からの慣例となっています。
研修メンバーは、NY行きの飛行機の中で、滞在中に予定している7カ所でのプレゼンテーションに向けて各自準備に励んでおり、キャビンアテンダントの方から「こんなに機中で勉強している高校生は初めて見る」と飛行機酔いを心配されるほど気合が入っていました。
NYでの初日となった3月4日は、NPOグローバルキッズのコーディネートで、同世代の生徒たちとともに、ハーレムをフィールドワークしました。NPOグローバルキッズは、経済的・文化的にハンディキャップを抱えている若者のエンパワーメントをミッションとしたNPOで、今回ともに行動した生徒たちも、アフリカ系アメリカ人として移民のバックグラウンドを抱えて厳しい境遇にある生徒たちでした。なお、グローバルキッズは昨年数名の生徒たちを本校に連れてきてくれており、今回再会を果たした生徒たちもいました。
公民権運動の足跡やブラックカルチャーを紹介し、世界中のブラックパワームーブメントの中心とも言われる Schomburg Center for Research in Black Culture では、数名のグループに分かれての行動です。アフリカンアメリカンの生徒たちが、個人的なエピソードを交えながら解説をしてくれました。教科書で学んでいたマーティン・ルーサー・キング牧師らの苦闘や、同世代からの「今もなお偏見にさらされ、日々チャレンジである」と語る具体的経験談、白人も含めた女性たちによる「RIGHT ON SISTERS!」という人種を超えた差別撤廃の運動のポスター、さらには音楽などの文化を通してアイデンティティを確立しつつ伝承していった歴史から、多くの学びを得ました。
☆Schomburg Centerでは現地の同世代とグループで行動
☆アフリカンアメリカンの同世代から解説経験談を聞く
ハーレムを歩きながら、日本のアニメの話などで盛り上がる同世代の交流ならではの姿も見られました。
☆ともにハーレムを歩く
☆昼食でもお互いの生活や趣味について会話が弾む
グローバルキッズの生徒たちと別れて本校生のみで訪問した Tenement Museum では、欧州からの移民(主にユダヤ人が居住)の長屋が保存された狭い住居の中をめぐるツアーに参加しました。実際の住居で移民のエピソードを聞き、その苦境に驚くばかりでした。そして、ホテルに戻った生徒たちは、振り返りの議論を行いました。
☆欧州からの移民の長屋のツアーに参加
アフリカンアメリカンの経験と、福島の経験の間にある、偏見等の共通点や、奴隷として差別されてきた背景などの相違点を、事前学習の資料も参照しながら議論しました。また、欧州からの移民は苦境ではあるものの差別にさらされていないというアフリカンアメリカンとの境遇の差異や、数百万人の移民で形作られてきたニューヨークの歴史の迫力など、議論は深夜まで続きました。
その後、翌日にプレゼンテーションとスピーチを控えたメンバーは通し練習を行い就寝し、濃密な初日が終了しました。
☆夜の振り返りミーティングで、ブラックパワーの象徴である「こぶし」に込められた思いなど、印象に残ったことを共有する
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1趣旨
2015年国連サミットで、貧しい国も、豊かな国も、中所得国も、すべての国々が豊かさを追求しながら地球を守り、持続可能な社会を実現していくことを目指して、世界各国は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。
未来創造探究において取り組んでいる原子力災害からの復興や、持続可能な地域づくりについての探究内容は、福島のみの課題ではなく、全世界が共有する「持続可能な社会づくり」の課題として考えることもできます。
SGHにおける2学年次海外研修では米国・ニューヨークを訪問し、国際機関や世界の同世代と交流を行い、世界に福島を発信するとともに、世界とともに持続可能な社会づくりを考え、未来を創造していく一歩とします。
2内容
(1)国連国際学校の同世代の生徒との交流
国際連合職員の子弟等が通学する、United Nations International School に通学する各国の同世代と交流する。未来創造探究での探究内容を発表し、意見交換を行う。また、「Under CTRL: Technology, Innovation and the Future of Work」をテーマとしてディベートを行い、日本・福島の視点から自分たちの意見を述べる。
(2)移民等のバックグラウンドを持つ同世代との交流
社会的にハンディキャップを負っている子供たちへの教育プログラムを実施しているNPOグローバルキッズと連携し、現地の同世代とNYの街をフィールドワークして多様性のあるNYの市民文化を学びつつ、「多文化共生」について意見交換を行う。
(3)国連関係者等との意見交換
未来創造探究での探究内容について国際連合関係者に対してプレゼンテーションを行い、持続可能な地域づくりや世界の実現について意見交換を行う。
(4)コロンビア大学国際公共政策大学院等への留学生との意見交換
世界各国から留学し、持続可能な世界の実現に向けた政策等を研究している大学院生と、福島の課題解決と世界の課題解決について意見交換を行いつつ、キャリア意識についても学ぶ。
(5)その他
ニューヨークにおける東日本大震災追悼式でスピーチを行い、世界への感謝や自身の考える未来像を発信する。また、NY市職員等とも街づくりや多様性を包含するコミュニティの実現について意見交換を行う。
3派遣者
2年次生徒 12名(男子7名、女子5名)、教員 3名
4派遣日程
平成30年3月2日(金) 福島発、NY着
平成30年3月3日(土) NPO Global Kidsの同世代とNY市内フィールドワーク
平成30年3月4日(日) NY市職員等意見交換★、東日本大震災追悼式参列★
平成30年3月5日(月) 国連日本政府代表部訪問、コロンビア大学国際公共政策大学
院等意見交換★
平成30年3月6日(火) United Nations International School(UNIS)訪問★
平成30年3月7日(水) United Nations International School(UNIS)訪問★、
NPO Global Kidsの同世代と意見交換★
平成30年3月8日(木) 各自自主研修
平成30年3月9日(金) 国連本部訪問★
平成30年3月10日(土) NY発 (3月11日(日)福島着)
※★印はプレゼンテーション&スピーチの実施機会